新型パジェロ
ついに姿を現した
2026年9月2日、7年の沈黙を破ってパジェロが戻ってきた。全長4,920mm、最低地上高230mm、480N·mのディーゼル。三菱が公式に明かした中身を、確定情報だけで整理する。
// 目次
【確定】9月2日に公式発表された内容
まず、三菱自動車が公式に発表した事実から確認する。
展開計画も明らかになっている。2026年度は生産拠点であるタイを皮切りに、日本、オーストラリアに投入し、次年度以降、アセアン、中南米及び中東など世界約100カ国へ順次展開していく計画だ。
歴代の実績についても言及があった。初代モデルから4代目モデルまでの累計生産台数は329万台を超え、170以上の国と地域で親しまれてきたという。
開発の方向性は明快だ。初代モデルから一貫して培ってきた、悪路走破性・信頼性[Confidence]、快適性と扱いやすさ[Comfort]を両立させるという商品思想を継承・進化させながら、今回新たにフラッグシップモデルにふさわしい上質さ[Prestige]を付加し、全方位にわたって大幅に進化させましたとしている。
従来の2本柱に「上質さ」を加えた3本柱——これが新型パジェロの立ち位置を最もよく表している。
サイズと悪路性能——数字で見る素性
クロカンSUVを評価するうえで、数字は雄弁だ。公式発表の諸元を見ていこう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 全長 | 4,920mm |
| 全幅 | 1,925mm |
| 全高 | 1,910mm(20インチタイヤ装着車) |
| ホイールベース | 2,870mm |
| 前後トレッド | 1,630mm |
| 最低地上高 | 230mm(20インチタイヤ装着車) |
| アプローチアングル | 30.4度 |
| ランプブレークオーバーアングル | 22.6度 |
| デパーチャーアングル | 25.8度 |
| 前後重量配分 | 52:48 |
| 乗車定員 | 3列7名 |
※三菱自動車 公式発表値。一部数値は20インチタイヤ装着車のもの。
最低地上高230mmという数字
注目したいのは最低地上高230mmだ。一般的なクロスオーバーSUVが180〜200mm前後であることを考えると、明確に本格志向の数値である。
アプローチアングル30.4度、デパーチャーアングル25.8度という角度も見逃せない。急な斜面に進入するとき、バンパーを擦らずに登れるか——この数字がそれを決める。悪路を走る前提で作られていることが、数値から読み取れる。
公式も52:48と最適化した前後重量配分、高剛性で耐久性に優れるラダーフレーム、ストローク量が多く路面追従性に優れるサスペンションと合わせ、卓越した悪路走破性を実現としている。
機械式の立体駐車場は、高さ1,550mm以下という制限が設けられているケースが多い。新型パジェロはこの種の駐車場には基本的に入らないと考えたほうがよい。全幅1,925mmという数字も、幅制限のある駐車場では問題になりうる。
都市部にお住まいで機械式駐車場を使う予定がある場合は、契約前に必ず駐車場のサイズ制限を確認してほしい。買ってから停められないと分かるのは、あまりに惜しい。
一方で、公式は乗員全員が快適に過ごせる上質な室内空間を確保しながら、取り回しの良いボディサイズにまとめていますとしている。全長4,920mmは、ランドクルーザー300(4,985mm)より若干短い。クロカンSUVとしては、扱いやすい部類といえるだろう。
2.4Lディーゼル+新開発8速AT
パワートレインも公式に明らかになった。
※一部仕様では470N·m
組み合わせるのは新開発のスポーツモード付き8速オートマチックトランスミッション。スムーズかつ滑らかな変速フィールを実現としている。
480N·mというトルクは、悪路走破において実用的な意味を持つ。岩場を這い上がる、深い泥から脱出する、重い荷物を積んで坂を登る——こうした場面で効いてくるのは最高出力ではなく、低回転から出る太いトルクだ。ディーゼルという選択は、この車の性格に合っている。
4WDシステムは「SS4-Ⅱ」+「S-AWC」
駆動系も注目に値する。4WDシステムは、走行シーンに応じて、2H(後輪駆動)、4H(フルタイム4WD)、4HLc(センターデフロック)、4LLc(ローギヤ+センターデフロック)の4つのモードを任意で選択でき、オフロードでの高い走破性とオンロードでの優れた操縦安定性を両立する「SS4-Ⅱ」を搭載している。
さらに意のままの操縦性と卓越した安定性を実現する車両運動統合制御システム「S-AWC」を採用。ドライブモードも7つ(NORMAL/ECO/GRAVEL/SNOW/MUD/SAND/ROCK)用意される。
S-AWCは、ランエボで磨かれた三菱の看板技術だ。それをクロカンSUVに載せてきたところに、この会社の本気が見える。
サスペンションもフロントにダブルウィッシュボーン式独立懸架、リヤに新開発の5リンク式リジッドを採用。前は快適性、後ろは強度と、性格に応じて使い分けている。
内装は「上質さ」に舵を切った
今回の発表で最も印象的だったのが、インテリアの作り込みだ。「無骨なクロカン」というイメージから、明確に方向転換している。
14.3インチ×2枚の「モノリスディスプレイ」
公式によれば、視認性に優れた2枚の14.3インチ大型ディスプレイで構成されるモノリスディスプレイを採用(一部仕様では12.3インチ)。
素材へのこだわりも語られている。インストルメントパネルやドアトリムには、日本の伝統工芸「木目込み」に着想を得た縫製技法を施したソフトマテリアルを用いることで、フラッグシップモデルにふさわしい立体感と上質感を表現しましたという。
木目込み——雛人形などに使われる伝統技法だ。クロカンSUVの内装説明に、こうした言葉が出てくること自体が新鮮である。
静粛性への言及も踏み込んでいる。フロントガラスに加え、前後ドアガラスにも遮音ガラスを採用するとともに、ボディをはじめ各部に遮音対策を実施。風切り音やエンジン音の侵入を抑えることで、全席で快適な会話を楽しめる、静かで上質な室内空間を実現としている。
オーディオも本格的だ。ヤマハ株式会社と共同開発し音質へのこだわりを追求したプレミアムオーディオシステム「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を搭載し、計12個のスピーカーとデュアルアンプの搭載とある。
3列目まで作り込んだという主張
7人乗りである以上、3列目の実用性は気になるところだ。公式はこう説明している。
3列目シートは、大人が着座した際も余裕あるヘッドクリアランスを確保し、つま先がシート下に収まるよう足元のレイアウトも工夫しました。2列目シートは150mmのロングスライドならびにタンブル機構を備え、乗降性と使い勝手を向上している。
さらに前席から3列目まで快適な室内環境を提供する3ゾーン独立温度コントロール式フルオートエアコンを採用とあり、3列目を「おまけ」扱いしていない姿勢がうかがえる。実際の座り心地は実車で確認したいところだが、設計思想としては期待できそうだ。
歴代モチーフの散りばめ方が巧い
デザイン面で興味深いのは、歴代パジェロの記憶を、あちこちに埋め込んでいる点だ。
・Cピラー——初代『パジェロ』のロールバーから着想を得たCピラーを採用
・リヤデザイン——歴代モデルの背面タイヤを想起させるヘキサゴンデザインモチーフを採用
・3連メーター——『パジェロ』伝統の3連メーターを現代的に進化させたマルチメーターを含む
・水平基調のインパネ——初代モデルから受け継ぐ水平基調のインストルメントパネルを採用
とくに背面タイヤのモチーフは象徴的だ。歴代パジェロの顔とも言える背面スペアタイヤは、新型では姿を消した。しかしその記憶を、リヤのヘキサゴンデザインとして残している。失われたものを、形を変えて継承する——このやり方は巧いと思う。
3連メーターも同様だ。ラリー由来の高度計・方位計・温度計を、デジタルで再現している。公式によれば高度計、方位計、温度計、車体の前後左右の傾き、AYC制御量など、走行状況をわかりやすく表示するという。単なる懐古趣味ではなく、機能として活かしている点が好ましい。
フロントフェイスについては日本の剣道に通じる内面の強さを表現、グリルは日本のものづくりの精巧さを表現する横桟タイプと、無駄のない機能美や高強度をイメージさせるハニカムタイプの2タイプを設定としている。
「日本らしさ」を明確に打ち出しているのが、今回のデザインの特徴といえる。
安全装備と快適装備
安全面でも、三菱として初となる装備が複数投入されている。
| 装備 | 内容 |
|---|---|
| SRSセンターエアバッグ | 三菱初採用。計8つのエアバッグを装備 |
| 緊急時車線維持支援機能[ELA] | 初採用。車線逸脱の危険を検知して支援 |
| 衝突被害軽減ブレーキ[FCM] | 歩行者・自転車・自動二輪検知、交差点アシスト付 |
| 前進時交差車両検知警報[FCTA] | 出会い頭の衝突リスクを低減 |
| マイパイロット(MI-PILOT) | 高速道路同一車線運転支援 |
| 3Dマルチアラウンドモニター | 4カメラ+3Dモデルで周囲を表示 |
注目したいのが「フロントアンダーフロアビュー」だ。公式によれば急勾配や岩場などの悪路において、ドライバーから見えない車両前方や下部などの路面状況を映像で確認することが可能。4WDモードで4HLcまたは4LLcを選択すると自動で起動するという。
車の下が見える——岩場を走るとき、これほど心強い装備はない。しかも4WDモードを切り替えると自動で起動する。使う場面をよく分かっている設計だと思う。
コネクテッド機能も搭載される。スマートフォンからのエアコン操作や車両状態の確認、緊急時にオペレーションセンターへ接続するSOSコールなどを含む「MITSUBISHI CONNECT」に対応する。
【未確定】発売日と価格の現在地
ここからは慎重に読んでほしい。ネット上で流れている日程と価格は、公式発表ではない。
複数のメディアが「10月29日に国内発表、12月17日に発売」と報じている。これはワールドプレミア後のメディア向け説明で明かされた内容とされる。
ただし三菱自動車の公式ニュースリリースには、これらの日付は記載されていない。公式が明言しているのは「2026年度に日本へ投入」という点までである。
■ 価格
「600万円台後半から」「500万円台後半〜700万円台」など、複数の予想が出ている。いずれもメディアの予想であり、三菱の発表ではない。
■ 予約開始
「10月1日頃から」との報道があるが、これも公式発表ではない。
正式な価格が出るまでは、判断材料が揃わない。販売店に直接確認するのが最も確実だ。
なお報道によれば、既にディーラーへの問い合わせが相次いでいるという。人気モデルの復活だけに、早めにディーラーと接点を持っておくのは有効かもしれない。正式発表と同時に動けるよう、情報を得られる関係を作っておきたい。
まとめ
・全長4,920×全幅1,925×全高1,910mm、ホイールベース2,870mm
・最低地上高230mm、アプローチアングル30.4度
・2.4Lクリーンディーゼル、最大トルク480N·m、新開発8速AT
・4WDは「SS4-Ⅱ」+車両運動統合制御「S-AWC」、7つのドライブモード
・3列7人乗り、3ゾーン独立エアコン
・14.3インチ×2のモノリスディスプレイ、伝統の3連メーターを現代的に再現
・三菱初のセンターエアバッグ含む8エアバッグ、ELA初採用
・ヤマハ共同開発のプレミアムオーディオ、12スピーカー
・生産はタイ。世界約100カ国へ展開予定
・日本での発売日(12月17日と報じられている)
・価格(600万円台後半などの予想が出ている)
・グレード構成と装備の詳細
・WLTCモード燃費、車両重量
7年ぶりに戻ってきた新型パジェロは、「無骨なクロカン」から「上質なフラッグシップ」へと軸足を移したように見える。最低地上高230mm、480N·mのディーゼル、SS4-ⅡとS-AWC——走破性の数字は本格的だ。そのうえで、14.3インチのディスプレイ、木目込みに着想を得た内装、ヤマハのオーディオと、上質さを重ねてきた。
興味深いのは、失われた背面タイヤをリヤのヘキサゴンモチーフとして残し、ラリー由来の3連メーターをデジタルで復活させた点だ。懐古に逃げず、機能として継承している。この姿勢は評価したい。
残る焦点は価格だ。報道では600万円台後半という予想が出ているが、公式発表を待つ必要がある。正式な情報が入り次第、この記事も更新していきたい。
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※本記事は2026年9月10日時点の情報にもとづきます。スペックは三菱自動車の公式発表値であり、日本仕様では異なる場合があります。一部数値は20インチタイヤ装着車のものです。国内の発表日・発売日・価格は三菱自動車から公式発表されておらず、本記事の該当箇所は各メディアの報道情報である旨を明記しています。最新かつ正確な情報は、三菱自動車の公式発表および販売店にてご確認ください。
10年以上にわたり中古車の購入・乗り換えを繰り返してきた実体験派。カーショーや展示会巡りも趣味で、車への関心は尽きない。専門用語に頼らず、クルマに詳しくない方にも伝わるやさしい言葉で情報を発信することをモットーにしている。全国の販売店ネットワークを活用した中古車マッチングサービス「AUTOMATCH」を運営中。






