ログイン無料相談

タイカン ベースグレード試乗|上質さと物足りなさの正体

試乗レポート — ポルシェ タイカン

タイカン
ベースグレードは速さで語る車ではなかった

2024年式のベースグレードに乗った。0-100km/hは4.8秒、十分に速い。それでも印象に残ったのは加速ではなく、静粛性と乗り心地だった。そして正直に言えば、少しだけ物足りなさも残った。

実車に試乗 この記事は、知人の所有するポルシェ タイカン(2024年式・ベースグレード)を借り、高速道路を含めて走らせた体験にもとづいています。なお筆者は普段ジャガーFタイプに乗っており、その評価軸が本記事の感想に影響している点も、あらかじめお伝えしておきます。
ポルシェのEV、タイカン。ベースグレードの2024年式に乗る機会があった。結論から言えば、車としての完成度は非常に高い。とくに静粛性、乗り心地、内装の質感——この3点は文句のつけようがなかった。ただ同時に、少しだけ引っかかる部分も残った。「もっとポルシェらしい刺激が欲しい」という感覚である。ベースグレードだから当然と言えばそれまでだが、その物足りなさが何に由来するのかを考えると、EVというもの自体の性質にも行き着くように思う。この記事では、実際に乗って感じたことを率直に書いていきたい。

2024年式という年式の意味

まず、乗った個体の素性を明らかにしておきたい。2024年式のベースグレードである。この年式には意味がある。

タイカンは2020年の登場から4年を経て、2024年2月に大幅な改良を受けた。改良の主なポイントは、航続距離を大幅に伸ばしたこと、加速性能が向上したこと、装備を改良して車体を軽量化したこと。また、充電にかかる時間を大幅に短縮し、ほとんどの領域で性能の向上が見られるとされている。

項目内容
モデルポルシェ タイカン(ベースグレード)
年式2024年式(改良モデル)
0-100km/h加速4.8秒(従来比0.6秒短縮)
航続距離最大678km(WLTP・上位グレード含む改良後の値)
回生ブレーキ出力290kW→400kW(30%向上)
新車価格(当時)1,370万円〜
試乗シーン街乗り+高速道路
📌 中古で狙うなら年式は重要
タイカンを中古で検討するなら、2024年の改良前か後かは大きな分かれ目になると思う。航続距離、充電速度、加速性能——どれも実用に直結する部分が改善されている。

現在の中古相場は、ベースグレードで599万〜1,780万円と幅が広い。年式・装備・走行距離によってこれだけ変わるということでもあるが、安い個体には安い理由があるとも言える。年式は必ず確認したいポイントだ。

静粛性——想像を超えていた

乗って最初に感じたのは、静けさだった。EVだから静かなのは当然だと思っていたが、その予想を超えていた。

🚗
気になる車を一緒に探しませんか?
条件を伝えるだけ。全国の在庫からプロが選ぶ。相談・仲介手数料0円。
▶ 無料で相談する

「エンジン音がない」以上の静けさ

EVが静かなのは、エンジン音がないからだ。それは分かっている。ただタイカンの場合、エンジン音がない分、他の音まで丁寧に抑え込まれているという印象を受けた。

とくにロードノイズがよく抑えられている。EVはエンジン音がないぶん、路面からの音が目立ちやすいと言われる。実際、そういうEVもある。ところがタイカンでは、その音がしっかり遮断されていた。遮音材の使い方なのか、ボディ剛性なのか、あるいはタイヤの選定なのか——理由は分からないが、結果として非常に静かだった。

高速道路でもこれは変わらない。速度を上げても会話が楽にできる。声を張る必要がないというのは、長距離を走るうえで想像以上に効いてくる部分ではないだろうか。

この静けさは、単に「うるさくない」という話ではないように思う。車内が静かだと、それだけで上質な空間に感じられる。乗っている時間そのものの質が変わる、という表現が近いかもしれない。

乗り心地と内装の質感

静粛性と並んで印象的だったのが、乗り心地と内装である。

スポーツカーらしからぬ快適さ

ポルシェのスポーツセダンというと、硬く締め上げられた足回りを想像しがちだ。ところがタイカンの乗り心地は、思っていたよりずっとマイルドだった。路面の凹凸を素直にいなしてくれる。

バッテリーを床下に積んでいるぶん重量はあるはずだが、その重さが不快な動きにつながっていない。低重心であることが、むしろ安定感として効いているように感じた。同乗者に「疲れる車」と言われるような硬さではない。

内装は、やはりポルシェだった

内装の質感も高い。素材、パネルの合わせ、スイッチ類の操作感——触れる場所がきちんと作られている。EVだからといって、奇をてらったデザインに振っているわけでもない。

ディスプレイ類は現代的だが、運転席まわりの基本的な構成にはポルシェらしさが残っている。「乗り込んだ瞬間に、ポルシェに乗っていると分かる」——この感覚は、EVになっても失われていなかった。

✓ 3点まとめると
・静粛性:エンジン音がないだけでなく、ロードノイズも抑制。高速でも会話が楽
・乗り心地:想像よりマイルド。低重心による安定感
・内装の質感:文句なし。ポルシェであることが伝わる

「上質なグランドツアラー」として見れば、非常に完成度が高いという評価になる。

4.8秒は速い。しかし——

加速についても書いておきたい。数字の上では、まったく不足はない。

2024年の改良で、ベースグレードの0-100km/h加速は0.6秒短縮して4.8秒になっている。4.8秒といえば、国産スポーツカーの上位モデルに匹敵する数値である。公道で使い切れる領域を、当然のように超えている。

EVらしく、アクセルを踏んだ瞬間から力が出る。回転を上げる必要も、ギアを落とす必要もない。速さという意味では、文句のつけようがない。

それでも、物足りなさが残った:
ここが正直な感想である。速いのは間違いない。快適なのも間違いない。それでも走らせているうちに、「もっとポルシェらしい刺激が欲しい」という気持ちが出てきた。

ベースグレードだから、と言われればその通りだ。上にはターボもGTSもある。ただ、この物足りなさはグレードだけの問題ではないように思う。

物足りなさの正体

では、その物足りなさは何に由来するのか。走り終えてから考えてみた。

音がないということ

ひとつは音だろう。

私は普段ジャガーFタイプに乗っている。スーパーチャージドV6の排気音が魅力の車で、正直なところ、あの音のために乗っていると言ってもいい部分がある。アクセルを踏んだときの高まり、緩めたときのバブリング——音が加速を「体験」にしてくれる。

タイカンには、それがない。速いのだが、速さが数値として通り過ぎていく感じがある。0-100km/h 4.8秒という事実はあるのに、体がそれを「事件」として受け取ってくれない。この差は、思っていたより大きかった。

もうひとつは関与する余地かもしれない。ガソリン車では、回転を合わせる、ギアを選ぶ、音を聞きながらアクセルを調整する——そうした「自分が操っている」という感覚がある。EVはその工程を省略して、結果だけを差し出してくる。効率的だが、面白みという点では引き算になる面もあるのではないか。

📌 これは欠点ではなく、性格の違い
誤解のないように書いておくと、これはタイカンの欠点ではないと思っている。静かで、快適で、速い——その方向性で作られた車として、極めてよくできている。

物足りなさを感じたのは、私がガソリンスポーツカーの評価軸で見ているからにすぎない。「音と振動で高揚する車」を求めるなら、そもそもEVは選択肢に入らない。逆に「静かに速く、快適に移動したい」なら、これ以上の答えは少ないはずだ。

上位グレードが気になったのも、結局は「もう少し刺激があれば、この方向性でも満足できるのではないか」という期待からだと思う。ターボやGTSに乗れば、印象は変わるかもしれない。

誰に向いている車なのか

乗ってみた印象から、向き不向きを整理してみる。

✓ 向いていると思われる人
・静かで上質な移動を求める人——ここは本当に良い
・高速を長距離走る機会が多い人——疲れにくさは大きな価値
・内装の質感を重視する人——ポルシェらしさは健在
・自宅に充電環境がある人——EVである以上、これは前提条件
・EVの加速を新しい体験として楽しめる人——ガソリンと比べない人ほど満足度は高そう
📌 慎重に検討したほうがよい人
・音や振動を含めた「体験」を求める人——ここは構造的に埋まらない
・ベースグレードで満足できるか不安な人——上位も試乗してから決めたほうがよい
・充電環境が整っていない人——性能以前の問題になる
・中古で安い個体を狙いたい人——年式による性能差が大きいため、価格だけで選ばないほうがよい

まとめ

ポルシェ タイカンのベースグレード(2024年式)に乗って感じたのは、「上質な移動体としての完成度の高さ」だった。静粛性はエンジン音がないこと以上に丁寧に作り込まれており、ロードノイズも抑えられ、高速でも会話が楽にできる。乗り心地はマイルドで、内装の質感も文句がない。

0-100km/h 4.8秒という加速も、数字としては十分すぎる。それでも走り終えたあとに残ったのは、「もっとポルシェらしい刺激が欲しい」という感覚だった。おそらくそれは、音がないこと、そして操作に関与する余地が少ないことに由来しているのではないかと思う。

ただこれは、車の欠点というより、評価軸の違いだと考えている。ガソリンスポーツカーに乗っている人間が見れば物足りなく感じるが、「静かに速く、快適に移動する」という方向性で見れば、これ以上の完成度はそう多くない。

上位グレードならこの感覚が埋まるのか——それは正直、乗ってみないと分からない。機会があれば試してみたいと思っている。少なくとも今回乗ったベースグレードは、速さではなく「移動の質」で語るべき車だった。

タイカンをお探しなら

年式・グレード・装備で内容が大きく変わる一台です。条件を伝えるだけでOK。
AUTOMATCHは中古車マッチングサービスです。希望条件を登録しておくと、全国の販売店から条件に合った車両をご提案します。利用は完全無料です。

🔍 希望条件を登録する(無料)
// 参考ソース

※本記事は2026年8月時点の情報および筆者個人の試乗体験にもとづきます。スペックは年式・グレード・仕様により異なる場合があります。乗り味の評価は個人の感想であり、路面状況・タイヤ・装備等によって印象は変わります。中古車価格は市場状況により変動します。購入にあたっては必ずご自身で試乗のうえご判断ください。

✍
この記事を書いた人AUTOMATCH 編集部

10年以上にわたり中古車の購入・乗り換えを繰り返してきた実体験派。カーショーや展示会巡りも趣味で、車への関心は尽きない。専門用語に頼らず、クルマに詳しくない方にも伝わるやさしい言葉で情報を発信することをモットーにしている。全国の販売店ネットワークを活用した中古車マッチングサービス「AUTOMATCH」を運営中。

Free Consultation

あなたに合った車、
プロが探します。

条件を伝えるだけ。全国の販売店から最適な一台をご提案。相談・仲介手数料は無料。

▶ フォームに入力する(3分)
無料・3分

あなたに合った車を
プロが探します

▶ フォームに入力する

先月の相談件数:20件以上

New
Tools
Popular
Sponsored
目次