車の色トレンド2025
グリーン急増・グレー躍進
レッドは市場の3%へ激減
BASF自動車OEM塗料カラーレポート2025の全データを解説。ホワイト33%・ブラック23%という定番色が続く中、グリーンが有彩色で世界トップに躍り出た。日本市場のデータも紹介する。
グローバル概要——2025年の世界の色分布
まず世界全体の色分布から見ていく。無彩色(白・黒・グレー・シルバー)が依然として圧倒的な主流だが、その中身に変化が起きている。
グリーンがブルー・レッドに次ぐ有彩色の第3位に浮上し「有彩色の中で世界的に最もトレンド性の高い色」と評価された。グレーが+2ptと無彩色の中で最大の伸びを示した。一方レッドは市場全体のわずか3%にまで落ち込み、かつての定番有彩色の地位を完全に失った。
地域別データ——日本・アジア・欧州・米州の違い
🇯🇵 日本市場
ホワイト 38%(+2%)トップ
グレー 14%(+3%)急増
ブラック 14%(−2%)
グリーン 5%(+3%)最大増加
ブルー 8%(−2%)減少
レッド 6%・ベージュ 3%
特徴:グリーンが+3ptと世界最大の伸び。SUVで人気。ベージュはコンパクトSUV・ミニバンで支持拡大。
🌏 アジア太平洋
ホワイト 36%(−2%)首位維持
グレー 18%(+3%)急増
ブラック 23%(−1%)
グリーン 3%(+1%)
ブルー 5%・シルバー 8%(+2%)
特徴:無彩色主流だがグリーンは明るい色調から自然な色相まで色域が拡大。
🌍 EMEA(欧・中東・アフリカ)
ホワイト 26%(−1%)
グレー 24%(+2%)2位に迫る
ブラック 23%(+3%)急増
グリーン 4%(+1%)レッド超え
ブルー 10%・シルバー 7%(−4%)
特徴:グリーンがレッドを初めて上回った。シルバーが−4ptと大幅後退。
🌎 米州
ホワイト 28%(−1%)トップ
グレー 16%(−4%)
ブラック 20%(安定)
グリーン 4%(+2%)最大増
ブルー 9%・レッド 7%
シルバー 13%(+2%)
特徴:米州ではグリーンが+2ptと最大の伸び。ブラウン・バイオレットも存在感を増している。
なぜグリーンが台頭しているのか
「個性の時代」への移行
BASFレポートは2025年のカラートレンドを「個性の重視と自然に着想を得た美意識へと明確に移行」と表現している。「リセールバリューを考えて白にする」という合理的な選択から、「自分のライフスタイルを表現する色を選ぶ」という感情的な選択への転換が世界規模で起きている。
サステナビリティ意識との連動
グリーンは単なる流行色ではなく、環境・自然・持続可能性を象徴する色として選ばれているという側面がある。日本市場ではグリーンは「サステナビリティと自然志向を象徴する新たなカラーとして台頭し、かつてブルーが担っていた役割を引き継ぎつつある」とレポートは分析している。
各ブランドの積極的な展開
BMW「Isle of Man Green」・アストンマーティン「レーシンググリーン」・ランドローバー「Grasmere Green」・マツダ「ジンクグリーンメタリック」——各ブランドがグリーンを積極投入した結果、消費者のグリーンへの認知と選択肢が増えた。アストンマーティンではF1での活躍後にレーシンググリーンが史上初めて最人気カラーになった事例もある。
グレー・ベージュ・カーキの台頭——「色のある無彩色」という新潮流
グリーンと同時に注目すべきなのがグレーの急増とベージュ・カーキ系の台頭だ。一見すると「地味な色」に見えるが、2025年のグレーは以前のグレーとは違う。
「ソリッドブラックは減少・グレーは増加」の意味
ブラックはグローバルで23%と依然人気だが、ソリッドブラックは減少し全体の18%にまで落ちた。代わりに増えているのがグレーだ。グレーはモダンな魅力・都市的な洗練感・「黒よりも光で表情が出る」という特性で選ばれている。特に日本市場ではグレーが+3ptと最大の伸びを示した。
スポーツカーが「グレーをアイデンティティにする」時代
グレーがトレンドカラーになっていることを最もよく象徴しているのが、スポーツカーブランドの動向だ。
ポルシェは近年、RSグレードやGT3といったハードコアスポーツモデルに対して、スレートグレー・クレヨン(マットグレー)・バナジウムグレーといったグレー系を積極投入している。特に「スレートグレーネオ」はGT3の特別塗装色(PTS)として話題を集め、中古市場でも高い関心を集めている。カラフルな色より「機能的・精悍・レーシング」という文脈でグレーが選ばれている。
GT-Rも同様だ。最終型となる2025年モデルの試乗記でも言及されている「アルティメイトメタルシルバー」は、GTカーとしての精悍さを際立たせる独自のグレー系カラーとして評価が高い。50thアニバーサリー限定車にもミディアムグレーの専用内装色が採用され、GT-Rとグレーの相性の良さが改めて示されている。
これらの動きは「グレー=地味」という認識からの完全な脱却を意味する。精緻なメタリック感・走行中の光の変化・カーボンパーツとの相性——こうした要素が評価されてグレーはスポーツカーのアイデンティティカラーになりつつある。
ベージュ・カーキがSUVで急速に広がる——コロナ禍のアウトドアブームが背景に
日本市場ではベージュがSUV・ミニバン系で支持を伸ばしている。アースカラー系(フォレストグリーン・アーバンカーキ・サンドベージュ)は「自然志向」「アウトドアライフスタイル」との相性が良く、SUVブームと完全に連動している。「白か黒か」という二択から「自分のライフスタイルを表す色」への移行を示す動きだ。
この変化の背景として無視できないのが、2020〜2022年のコロナ禍によるアウトドアブームだ。外出自粛・密回避の流れの中でキャンプ・車中泊・ソロドライブが爆発的に広まり、ランドクルーザー・RAV4・CX-5といったSUVの需要が急増した。自然の中で使う車には「自然に馴染む色」が似合うという感覚が、実際にSUVを選ぶ層に浸透していった。
コロナ前は「売れる色=白・黒」という常識が支配的だったが、アウトドアユーザーはリセールより「乗ること自体の楽しさ・自分らしさ」を優先する傾向が強い。この価値観の転換が、グリーン・ベージュ・カーキのシェア増加を後押しした構造的な要因の一つだ。コロナ禍が終息した後も、一度定着したライフスタイルと色の趣味は変わらず、むしろ次の購入時にも同じ方向性で選ぶという循環が生まれている。
コロナ前:リセール・無難さ優先 → 白・シルバーが圧倒的多数
コロナ後:ライフスタイル・個性優先 → グリーン・カーキ・ベージュが台頭
BASFレポートが「消費者が定番色から離れる傾向」と表現する変化の実態は、コロナ禍が人々の車との付き合い方を根本から変えた結果とも読み取れる。
レッドの凋落——かつての「スポーツカーの色」が市場の3%に
2025年のデータで最も衝撃的な数字はレッドだ。世界全体で市場シェアわずか3%にまで落ち込み、グリーンと並ぶ存在になった。10年前と比べると、レッドは有彩色の代表的な存在だったが、今やニッチな選択肢になってしまった。
理由は主に2つある。一つはEVシフトによって「力強さ・スポーティさ」を表現する手段として赤を選ぶ文脈が薄れたこと。もう一つはSUVの台頭で、「家族で乗る車にレッドは選びにくい」という心理的な変化だ。スポーツカーのアイコンカラーだったレッドは、スポーツカー市場の縮小とともに退潮している。
車選びへの影響——トレンドカラーを選ぶとリセールはどうなるか
カラートレンドを知ることは、購入時の色選びにも影響する。特に気にしておくべき点は以下だ。
| 色 | リセールへの影響 | おすすめのケース |
|---|---|---|
| ホワイト(定番) | 安定。常に需要がある | 売却を前提に乗る人・リセール最優先 |
| グレー(急増中) | 良好。需要が増えており売りやすい | 個性を出しつつリセールも気にする人 |
| グリーン(トレンド) | 人気色なら高め。ただし希少色は流動的 | 乗ること自体を楽しむ人・長く乗る人 |
| ベージュ・カーキ | SUVとの相性が良く需要増加中 | アウトドア志向のSUVオーナー |
| レッド(凋落中) | 需要減少で売りにくくなりつつある | 売却を考えず長く乗る人 |
| ブルー(減少中) | かつてより需要が低下傾向 | 本当に好きな人向け |
グリーンが人気でもリセールが高いとは限らない。リセールに最も影響するのは車種・走行距離・状態であり、色の影響は2〜5%程度と言われる。ただしニッチすぎる色(特殊なメタリック・ビビッドカラー)は売れにくくなることがあるため、あまりに個性的な色は長く乗ることを前提にした方が良い。
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- BASF自動車OEM塗料カラーレポート2025(日本語版) — BASF コーティングス事業部(2026年1月)
- 自動車カラートレンド2025、グリーンが有彩色で世界的に最も増加 — Response.jp(2026年1月)
- アストンマーティン・レーシンググリーンF1の成功が後押しして人気色のポールポジションを獲得 — PRtimes(2024年2月)
※本記事のデータはBASF自動車OEM塗料カラーレポート2025(日本語版)をもとにしています。データは世界の自動車生産台数と塗料使用実績をもとにBASFが算出したものです。










