ベンツ・BMW・アウディの
リセールが悪い理由
——仕組みと損しない選び方
新車800万円のBMWが3年後に400万円。新車500万円のアウディが250万円になる。なぜドイツ3ブランドはこれほどリセールが低いのか。構造的な理由と、例外的にリセールが良いモデルを解説する。
// 目次
リセールの現実——数字で見るドイツ3ブランド
まず現実の数字を見る。新車価格から3年後・5年後に何%の価値が残るかを国産車と比較すると、差がよくわかる。
| 車種 | 新車価格目安 | 3年後残価率 | 5年後残価率 | 5年後価格目安 |
|---|---|---|---|---|
| ベンツ Cクラス(W206) | 約600万円 | 約45〜55% | 約30〜40% | 約180〜240万円 |
| ベンツ Eクラス(W214) | 約800万円 | 約40〜50% | 約28〜38% | 約224〜304万円 |
| BMW 3シリーズ(G20) | 約600万円 | 約40〜50% | 約28〜38% | 約168〜228万円 |
| BMW 5シリーズ(G60) | 約900万円 | 約38〜48% | 約25〜35% | 約225〜315万円 |
| アウディ A4(B9) | 約600万円 | 約38〜48% | 約26〜36% | 約156〜216万円 |
| トヨタ アルファード(比較) | 約650万円 | 約70〜85% | 約55〜70% | 約358〜455万円 |
| レクサス LS(比較) | 約1,200万円 | 約45〜55% | 約32〜42% | 約384〜504万円 |
※残価率は参考値。実際の買取価格は市場状況・走行距離・状態により大きく異なります。
残価率50%でも、新車800万円のBMWは400万円値下がりする。一方、新車300万円の国産車が残価率60%(120万円値下がり)なら、手元から消える金額はBMWの方が圧倒的に大きい。「リセールが悪い」という印象は主にこの「値下がり額の大きさ」から来ている。
なぜリセールが低いのか——5つの構造的理由
① 残価設定クレジットが中古車市場に大量の車を流す
ベンツ・BMW・アウディは残価設定クレジット(残クレ)での新車購入が多い。3年・5年で乗り換えることが前提の契約のため、ユーザーが意図せず乗り換えを強いられるケースもある。その結果、状態の良い3〜5年落ち車が大量に中古市場に流れ込む。供給過多になれば価格は下がる。これが最も大きな構造的要因だ。
② ディーラーの値引き・登録済み未使用車が相場を下げる
輸入車ディーラーはインポーターからの販売台数ノルマを達成するため、大幅値引きや登録済み未使用車(ほぼ新車で中古扱いの車)を市場に流すことがある。これがそのまま中古相場を引き下げる。「値引きはクルマの価値を最初から引き下げる」という構造が、リセールの悪さに直結している。
③ 維持費・故障リスクへの不安が需要を抑制する
中古でBMW・ベンツを購入する際に多くの人が「維持費」と「故障リスク」を懸念する。買い手が少なければ価格は上がらない。国産車と比べて修理費が高く・パーツ調達が複雑というイメージが根強く残っており、それが中古相場を構造的に低く抑えている。
④ モデルサイクルが速く、旧型の価値が急落しやすい
ベンツ・BMW・アウディは平均7〜8年でフルモデルチェンジし、4〜5年でマイナーチェンジを行う。新型が出ると旧型の価値が急落しやすく、特にマイナーチェンジ直前・直後の旧型は一気に価格が下がる。
⑤ 国内需要が限られ、輸出市場も国産ほど強くない
アルファードやランドクルーザーは中東・東南アジアへの輸出需要が旺盛で、それが国内中古相場を下支えしている。一方でベンツ・BMWは本国欧州の中古車市場で競合するため、日本からの輸出による相場押し上げ効果が限定的だ。
例外——ドイツ車でもリセールが良いモデル
すべてのドイツ車がリセールで損するわけではない。以下のカテゴリは例外的に高い残価率を維持している。
| モデル | 残価率の傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| メルセデス Gクラス(G350d等) | 60〜80% | 希少性・生産台数制限・アイコニックなデザインが価値を保つ |
| BMW M2・M3・M4 | 55〜70% | ドライバーズカーとして根強い需要。限定モデルは高騰することも |
| アウディ R8 | 55〜70% | スーパーカーカテゴリのため普通の需給法則が適用されにくい |
| ベンツ AMG GT(旧型V8) | 50〜65% | EV化発表後に内燃機関モデルの希少価値が上昇 |
| ベンツ Gクラス AMG | 70〜90% | 極めて需要が高く、新車以上の価格になるケースも |
①希少性がある(生産台数が少ない・限定モデル)②代替できない個性がある(Gクラスのデザイン・V8サウンド等)③「乗ること自体が目的」になる車——この3条件が揃うと、ドイツ車でもリセールが高くなる傾向がある。
リセールが低いことは「買う側」のメリットでもある
リセールが悪いということは、中古で買う人にとっては「安く高級車に乗れる」ことを意味する。これは前の記事(中古車なら高級車に乗れる?)でも触れた通りだ。
新車800万円のBMW 5シリーズが5年落ちで250万円になるなら、250万円で800万円分の設計・装備・走行性能を手に入れられる。リセールが悪い=新車で買う人が損をする=中古で買う人が得をする、という構造だ。
ベンツ・BMW・アウディは「新車で買って数年後に売る」人には向いていない。しかし「中古で買って長く乗る」人には非常にコスパが良い選択肢になる。5年落ちで買い、さらに5年乗り続ければ、1年あたりのコストは劇的に下がる。維持費と向き合える人にとっては、最もコストパフォーマンスの高い高級車の乗り方と言える。
損しないドイツ車の買い方
新車で買うなら「リセールを期待しない」前提で
新車でベンツ・BMW・アウディを買う場合、最初からリセールを期待しない方がいい。「3年後に高く売れる」という前提でローンを組むと、残価が期待を下回ったときに損をする。「乗る間の満足感に対してお金を払う」という考え方の人に向いている。
中古で買うなら「2〜3年落ち」より「5年落ち以降」
2〜3年落ちはまだ価格が高く、残価の下落幅が大きい。5年落ち以降になると価格が底を打ちやすく、そこから先の値下がりが緩やかになる。長く乗る前提なら5年落ち以降を狙うのがコストパフォーマンスの観点から合理的だ。
Mモデル・AMG・Slineなどスポーツ仕様は需要が安定
同じBMW 3シリーズでも、通常の320iより320i Mスポーツ・M340iの方がリセールが良い傾向がある。スポーツ仕様・限定色・限定モデルを選ぶことで、通常モデルより値下がりを抑えられるケースがある。
BMWの7シリーズ・ベンツのSクラス・アウディのA8は法人需要が中心で、個人の買い替え需要が限られる。新車価格が非常に高い割にリセールが低く、5年で新車価格の25〜35%程度まで下落するケースがある。新車で買うのは特別な理由がある人以外には推奨しにくい。
リセールを気にせず乗れる
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※本記事の残価率・価格はAUTOMATCH編集部による参考情報であり、一部に主観的な見解を含みます。実際の買取価格は市場動向・車両状態・走行距離・グレードにより大きく異なります。特定の価格・残価率を保証するものではありません。










