新型AMG GT 4ドアクーペ 2026|1169ps EVの衝撃

2026.05.26 — NEW MODEL REPORT

新型 AMG GT 4ドアクーペ
1169ps・EV専用・V8サウンド再現の衝撃

2026年5月20日、LAで世界初公開。メルセデスAMG史上最高出力のEVに生まれ変わったGT 4ドアクーペ。アキシャルフラックスモーター3基で0-100km/h 2.1秒。そして「V8の咆哮を電気で再現する」という衝撃の機能を搭載した。

旧型AMG GT 4ドアクーペは2025年末に「ファイナルエディション」で幕を閉じた。そして2026年5月20日、後継となる新型が世界初公開された。最大の変化はパワートレインの全面刷新——内燃機関をすべて廃止し、EV専用モデルへと生まれ変わった。しかしAMGは「音」を捨てなかった。

旧型の終焉と新型の登場——何が変わったのか

旧型AMG GT 4ドアクーペは2019年の日本導入以来、3.0L直6ターボ・4.0L V8ツインターボ・PHEVという内燃機関ラインナップで展開してきた。最終モデルのGT63 S Eパフォーマンスは843psというPHEVとして圧倒的な出力を誇り、2025年末に「ファイナルエディション」として限定発売されてシリーズを締めくくった。

そして2026年5月20日、ロサンゼルスで世界初公開された新型は、ブラッド・ピットとF1ドライバーのジョージ・ラッセルによってアンベールされた。メルセデスAMGがAMG.EAと呼ぶ専用EVプラットフォームを採用した、完全EV専用モデルとして登場した。

// 世界初公開
2026.05.20
ロサンゼルスにてブラピ×ラッセルとともにアンベール
// 最高出力(GT63)
1,169ps
AMGローンチコントロール使用時のピーク出力
// 0-100km/h
2.1秒
GT55・GT63共通。AMG史上最速の4ドア
// 最高速度
300km/h
ドライバーズパッケージ装着時

アキシャルフラックスモーター——1169psの正体

新型GT 4ドアクーペの核心は、従来の電気モーターとは根本的に異なる「アキシャルフラックスモーター(軸方向磁束モーター)」にある。フロントに1基、リアに2基の計3基を搭載する構成で、リアには2基のモーターとコンパクトな1段プラネタリーギアボックスが収められている。

アキシャルフラックスモーターとは何か

従来の電気モーターは磁束が「ラジアル(放射状)」に流れるのに対し、アキシャルフラックスモーターは磁束が軸方向(ディスク面に平行)に流れる構造を持つ。これによりモーターをコンパクトかつ軽量に設計しながら、より高い連続出力とトルクを発揮できる。従来型より高い出力密度を持ち、過酷なドライビングを連続して再現できるのが最大の強みだ。

AMG ONE直系のバッテリー技術

電力を供給する高電圧バッテリーは、AMGのハイパーカー「AMG ONE」とF1のパフォーマンス哲学を融合させた専用開発品だ。GT63では0-200km/h加速が6.4秒という数値も公開されており、スーパーカーと真っ向勝負できる性能を持つ。

1169psという数字の意味:
旧型最強モデルだったGT63 S Eパフォーマンス(843ps PHEV)を326ps上回る。ポルシェ タイカン ターボS(761ps)、アウディ RS e-tron GT(646ps)を大幅に超え、EVの4ドアクーペとして世界最高出力クラスに位置する数字だ。

EVなのにV8サウンド——AMGの意地

「AMG サウンドエクスペリエンス」——電動時代のジレンマへの答え

新型GT 4ドアクーペで最も話題になっているのが、V8エンジンの咆哮を電気で再現するサウンドモードの搭載だ。AMGはこれを「AMG サウンドエクスペリエンス」と呼ぶ。

内燃機関の排気音は、エンジン回転・負荷・スロットル開度に連動してリアルタイムに変化する。このダイナミズムを電動パワートレインのデータと連動させ、実際のV8エンジン音に近い音響体験を車内外で再現するシステムだ。

音で車を選ぶ人間として正直に言うと、「本物の音」とは別物だと思っている。しかし、AMGがEVになってもサウンドへの執着を捨てなかったという事実は、このブランドが何を大切にしているかを示している。

グレード別スペック詳細

項目AMG GT55AMG GT63
全長5,094mm(旧型比+34mm)
全幅1,959mm(旧型比+9mm)
全高1,411mm(旧型比−19mm・よりローに)
ホイールベース3,040mm(旧型比+15mm)
パワートレインEV専用(AMG.EAプラットフォーム)
モーター構成アキシャルフラックスモーター×3(前1・後2)
最高出力816ps(600kW)1,169ps(860kW)
最大トルク183.6kgm203.9kgm(2,000Nm)
0-100km/h2.4秒2.1秒
0-200km/h8.7秒6.4秒
最高速度300km/h300km/h
バッテリー容量106kWh(800V高電圧・円筒形セル直接冷却)
急速充電最大600kW対応 / 10分で約460km分 / 10〜80%が11分
駆動方式4MATIC+(電動AWD)
発売時期(米国)2026年内2027年初め
日本導入未発表(検討中と見られる)
予想価格(日本)2,500〜3,000万円前後3,500万円〜
サイズ感について:
全長5,094mm × 全幅1,959mm × 全高1,411mm、ホイールベース3,040mm。従来型よりもさらに伸びやかなフォルムを採用しつつ、ワイド&ローなシルエットを強調。全長5mを超えながら全高を旧型より19mm下げることで、これだけのボディサイズに見えない低重心のシルエットを実現している。立体駐車場(H2100以下)には入るが、全幅1,959mmは機械式駐車場では入庫できないケースが多いため注意が必要だ。

「クセが強すぎる」——デザインへの賛否

新型AMG GT 4ドアクーペのデザインと性能にSNSでは驚愕の声が上がった。公開直後から「過激すぎる」「クセが強い」という声と、「これが未来のAMGだ」という歓声に真っ二つに割れている。

賛成派の声

「AMGらしい攻めたデザイン」「EVになっても妥協しなかった」「フロントの存在感が圧倒的」「1169psというスペックにふさわしい顔つき」といった評価が多い。特にフロントのワイドグリルとシャープなLEDヘッドライトの組み合わせは、従来のメルセデスの上品さを意図的に崩した「AMGらしさ」として肯定的に受け取られている。

否定派・懐疑的な声

「旧型の上品さが好きだったのに」「メルセデスらしくない」「やりすぎ感がある」という意見も多い。特に旧型GT 4ドアクーペのエレガントなシルエットを好んでいたユーザーからは、「Eクラス系の血筋が消えた」という寂しさも聞かれる。

デザインのキーポイント

外観で最も特徴的なのはフロントからリアにかけての面構成だ。従来型はEクラス系プラットフォームをベースに高性能化を図ったモデルだったが、新型は専用EVアーキテクチャーからゼロで設計されており、単なる電動化ではなくAMGというブランドの価値そのものを次世代へ継承する重要な1台だ。その意志がデザインにも反映されており、「メルセデスらしい上品さ」より「AMGとしての過激さ」を前面に出した造形になっている。

また、メルセデス・ベンツ初となるLEDが埋め込まれたスカイコントロール・パノラミックガラスルーフも話題になっており、内装の革新性は外装と同様に高く評価されている。

旧型との比較——何が変わり、何がなくなったか

項目 旧型 GT63 S Eパフォーマンス 新型 GT63 4ドアクーペ
パワートレイン 4.0L V8 PHEV EV専用(3モーター)
最高出力 843ps 1,169ps
0-100km/h 2.9秒 2.1秒
エンジンサウンド V8実音 V8サウンド再現モード
給油 必要(ガソリン+充電) 充電のみ
日本価格 3,685万円(ファイナルエディション) 未発表
最も大きな変化は「V8を捨てた」こと:
旧型GT63 S Eパフォーマンスの4.0L V8ツインターボが持っていた本物の排気音は、新型では再現されない。「V8サウンド体験モード」はあくまで演出であり、タービンの吐き出す音・排気管の振動・アクセルオフ時のバックファイアは電気では代替できない。その事実は受け止めたうえで、1169psという数字は本物だ。

音で車を選ぶ人へ

このサイトはマフラー音・エキゾーストサウンドを大切にしている。その観点から新型AMG GT 4ドアクーペについて正直に言う。

新型が「音」を失ったことは事実だ。旧型GT63 S Eパフォーマンスが持っていたあのV8の咆哮は、もう新車では手に入らない。AMGがどれだけ精巧にサウンドを再現しようとも、エンジンが燃焼する本物の音と同じではない。

一方でAMGがEVになっても「音の体験」を諦めなかったことは評価したい。1169psという圧倒的な数字と、V8サウンドへのこだわりを持ち続けるブランドの姿勢——これは「音で車を選ぶ」という感覚を持つ人間への、AMGなりの答えだと思っている。

旧型GT 4ドアクーペの音が好きな方には、今が中古を狙う最後のタイミングかもしれない。

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