新型エルグランド
発売後の実態
受注6300台のロケットスタート、人気グレードと納期、そして発売1週間で浮上した「転売」の噂。16年ぶりに帰ってきた王者の、発売後のリアルを整理する。
// 目次
受注6300台——16年ぶりのロケットスタート
新型エルグランドは、発売前から異例の注目を集めた。5月下旬に始まった先行予約では、実車を見ずに注文したユーザーも含めて約6000台超のオーダーを獲得。発表前の受注はすでに6000台を超えていたとされ、発売後には6300台規模に達したと報じられている。689万円からという高価格帯のミニバンとしては、まさにロケットスタートだ。
| 車種 | 発売直後の受注 | タイプ |
|---|---|---|
| 日産 エルグランド(新型) | 約6,000〜6,300台 | 高級ミニバン |
| 日産 キックス(新型) | 約7,000台 | コンパクトSUV |
| トヨタ クラウン クロスオーバー | 約25,000台 | 高級車 |
| トヨタ アルファード(現行) | 約22,000台 | 高級ミニバン |
| ダイハツ ムーヴ(新型) | 約30,000台 | 軽ワゴン |
※各社公表・報道ベース。集計期間や「受注」の定義が異なるため厳密な横比較ではなく、規模感の目安です。
こうして並べると、エルグランドの約6,300台は、同じ日産のコンパクトSUV「キックス」(約7,000台)とほぼ同じ初動規模だとわかる。一方、アルファードやクラウン、軽のムーヴといった「万台級」のヒット作と比べると、数字の上では控えめだ。
ここで重要なのは、エルグランドが689万円〜という高価格で、全車e-POWER+4WD(e-4ORCE)という一本足の戦略モデルだという点だ。ムーヴ(135万円〜)やキックス、間口を広く取ったアルファード・クラウンとは、そもそも買える人の母数が違う。
その前提で見れば、これだけ高価格で選択肢を絞ったミニバンが、キックス級の初動(6,000台超)を集めたのは十分に好調といえる。台数の絶対値ではヒット作に届かないが、「価格帯を考えれば異例のスタート」というのが公平な評価だ。久々に数字で語れる対抗馬が現れたこと自体が、この市場では大きな出来事といえる。
理由は主に3つ。①16年ぶりのフルモデルチェンジで「待たされた分」の期待が大きかった、②全車に第3世代e-POWERと電動4WD「e-4ORCE」を搭載し中身が一新された、③アルファード一強だった高級ミニバン市場に、久々に本格的な対抗馬が現れた。日産にとっても、経営再建を支える重要モデルという位置づけで、力の入れようが違う。
人気グレードと納期の現状
今から注文を入れる人にとって、納期は金額と同じくらい切実な問題だ。現時点の報道をもとに整理しておきたい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| いちばん人気 | G e-4ORCE(757万9000円) |
| そのグレードの納期 | 発売時点で約6か月(年内納車ペース) |
| 全体の納期目安 | 契約から納車まで約2か月〜(グレード・時期による) |
| 生産拠点 | 日産の九州工場 |
最上位ではなく中間の上級グレード「G e-4ORCE」(757万9000円)に人気が集中しており、発売時点での納期は約6か月(年内納車ペース)と案内されている。一方で、発表会ではいまなら契約から納車まで2か月ほどという案内もあり、グレードや時期によって納期には幅がある。人気グレードを狙うほど待ち時間は長くなる傾向だ。急ぐなら、販売店に最新の納期を確認するのが確実だ。
実際の乗り出し価格はいくら?
カタログ価格689万7000円〜という数字だけ見て予算を組むのは危険だ。実際に買うと諸費用が乗る。メディアが日産ディーラーで作成した見積もりでは、上位グレードで乗り出し750万円スタートという水準が報じられている。オプションを積み上げれば、総額はさらに膨らむ。
ちなみに、先代E52型のエントリー価格が約408万円だったことを考えると、新型は約1.7倍という大幅な価格上昇だ。これは日産が「安売りでシェアを取る」路線と決別し、中身で勝負する方向に舵を切ったことを意味する。全車4WD(e-4ORCE)という装備の手厚さも、この価格設定の背景にある。
発売1週間で「転売」の噂——実態は?
発売直後、SNS上にきな臭い噂が流れ始めた。「新型エルグランドが業者オークションに早くも出品され、高額落札された」というものだ。
「1000万円近い落札」の噂
発売からわずか1週間で、業者オークションに新型エルグランドが出品され、初競りで1000万円近い価格で落札された、という噂がSNS上で広がった。カタログ価格689万〜869万円の車が1000万円近くで取引される——事実なら、明確な「転売(プレミア)」現象だ。
これは、アルファードでも起きてきた現象だ。人気の高級ミニバンは、納期が長いほど「今すぐ欲しい人」がプレミア価格でも買う。その需要を狙って、転売目的で注文する業者が出てくる。新型エルグランドも、その対象になった可能性がある。
「未使用車」「新古車」として相場より高い個体が中古市場に出てきた場合、それは転売由来のプレミア価格かもしれない。急いで手に入れたい気持ちは分かるが、正規ディーラーで正規の価格で注文するのが基本だ。プレミア価格で買うと、数年後のリセールで大きく損をするリスクがある。焦らず、正規ルートで納期を待つのが、結局は一番賢い。
X(旧Twitter)上のリアルな声
発売後、試乗や実車確認を終えたユーザーの声がXに積み上がっている。以下は、良い評価・気になる点の両面から傾向をまとめたものだ(個別投稿の要約であり、特定の投稿の引用ではない)。
高評価が目立ったポイント
乗り心地・静粛性:「魔法の絨毯のような乗り心地」「街中の静かさはEV並み」「シートがフカフカ」といった、乗り心地と静けさを絶賛する投稿が特に多く見られた。エルグランドが売りにする静粛性は、実際に体感した人からの評価が高い。
走行性能:e-POWER+e-4ORCEのスムーズで力強い加速、高速安定性、ハンドリングの良さを挙げる声が目立った。「走りはめっちゃ良かった」「ミニバン最強か」といった投稿も見られた。
内装・第一印象:質感の高さ、室内の広さ、2列目シートの快適さを好評価する声。実車を見て「威風堂々」「インパクト大」という反応も。
一方で、気になる点を挙げる声もあった。多かったのは価格で、「850万〜900万クラスは高い」「装備に対してどうか」という投稿。デザインも好みが分かれ、粒々のグリルなどについて「実物は写真より迫力がある」という肯定的な声と、「好みじゃない」という声の両方が見られた。ほかに、3列目シートの使い勝手や、大きさゆえの取り回しを指摘する声もあった。
総じて、実際に試乗した人の満足度は高い。特に「乗り心地」「静粛性」「走り」は、数値やカタログでは伝わらない部分で、体感した人ほど評価が跳ね上がる傾向だ。価格とデザインの好みは二分される。この2点は実車を前にしないと判断できない——気になるなら、まず試乗してから決断したい。
アルファードからの乗り替えは起きているのか
購入者の顔ぶれも変わり始めている。販売店への取材では、ファミリー層だけでなく法人用としても定着した高級ミニバン市場で、アルヴェル(アルファード/ヴェルファイア)からの乗り替えも起きていると報じられている。16年間アルファードに独占されてきた市場で、「あえてエルグランドを選ぶ」という判断が現れ始めた。それ自体が、この市場における地殻変動の兆しといえる。
一方で、アルファード側の販売店からはエルグランドとは比較すらしない”指名買い”という声も報じられている。つまり「アルファードしか眼中にない」層も依然として厚い。乗り替えは”一部で起きている”のが実態で、”多発”と言い切れる段階ではない。エルグランドがアルファードの牙城を切り崩し始めたのは確かだが、王者の指名買いはなお健在、というのが公平な見方だ。
それでも、乗り替えが一部でも起きていること自体が変化の兆しだ。理由として考えられるのは、①アルファードの納期が長く手に入りにくい、②「みんなと同じアルファード」を避けたい、③e-POWER+e-4ORCEの走りや静粛性に魅力を感じた、といった点だ。以前の記事でも触れたが、エルグランドは「走りとコスパで選ぶ、わかる人の高級ミニバン」というポジションを取りつつある。
新型エルグランドの登場で、高級ミニバン選びに久々の選択肢が生まれた。全面的にアルファードを逆転するのは難しくても、「アルファード以外の本命」という指定席は確保しつつある。買う側にとっては、比較できる相手が増えるのは歓迎すべきことだ。
今から買うなら知っておきたいこと
ここまでの実態を踏まえ、今まさに購入を検討している人が動く前に確認しておきたいポイントを絞った。
□ 人気グレード(G e-4ORCE)は納期が長め。急ぐなら早めに商談を
□ 予算は「乗り出し価格」で見る(上位は750万円〜)
□ 転売由来のプレミア価格の中古には手を出さない
□ 正規ディーラーで正規価格の注文が基本
□ アルファードと必ず乗り比べる(走り・後席・リセールで性格が違う)
□ 全車4WD(e-4ORCE)。雪国以外ではオーバースペックに感じる人も
新型エルグランドは、16年分の期待を背負った意欲作だ。走りと静粛性は実際に乗った人の評価が高く、「アルファードとは異なる価値観」を確かに持っている。ただし価格は妥協のない水準で、人気グレードの納期は長い。転売価格の中古に飛びつく必要はない。正規ルートで納期を待ち、アルファードと乗り比べた上で判断する——それが、この価格帯のミニバンを買うときの正しい手順だ。
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※本記事は2026年7月時点の報道・公表情報とAUTOMATCH編集部の見解に基づきます。受注台数・納期・価格・転売に関する情報は報道ベースを含み、今後変動します。転売相場の噂は真偽が確定していないものを含みます。最新の正確な情報は日産公式・販売店でご確認ください。






